2026年10月21日水曜日

レジェンドの思い出話と子規の絵日記

ガッと在宅仕事を終わらせて、ネイルを付け替えに行った。爪は緑がかったベージュになった。瓶詰めのマッシュルームを思い出す色味だ。新宿オカダヤでダルマの80番レース糸を買い足して、大学に向かった。

大学では、ホスピタルアートの先駆者の特別講義を聞いた。会場には学生よりも、外部から来たご年配のお客さんが多く見えた。私の祖母くらいの世代には、とても有名な方らしい。

講義を聞いて、レジェンドというのは経験したことをそのまま話すだけで、めちゃくちゃ面白い話になるのだなと思った。聞き手は時々、「つまりこういうことが起こったんですよね」と、かいつまんだ説明を挟んでいた。第三者によるダイジェストの方が、物語としてはわかりやすい。でも、レジェンドの話のところどころに入る妙に詳細な部分は、省略しきれないところにこそ情報があると受け取った方が良いのかもしれない。上野千鶴子も、情報はノイズから生まれるって言ってたし。

行きも帰りも、電車の中ではずっと正岡子規の『仰臥漫録』を読んでいた。結核菌が背骨に転移して寝たきりになった子規の、死の前年から直前までの日録だ。三食なにを食べたか、便通、体温といった記録に、俳句や素描が交ざっている。まず、毎日めちゃくちゃいろんなものをたくさん食べていてびっくりした。多分食べすぎたせいで、お腹が痛くなって泣いている日もあった。私も退院後すぐ、胃腸が本調子でないにも関わらずブロンコビリーに行って、案の定一晩中腹痛で苦しんだことがあったなと思い出した。

本を読みながら、本の内容とはほぼ関係ないのだけど、2030年までのアーティストとしての目標が急に決まった。また指導教官をびっくりさせてしまうかもと思ったが、最近はびっくりに慣れてきて、楽しみですらあると言われたのだった。そういえば修士修了直前、つまり博士受験の前に、荒川さんが確信に満ちた目で「Jam Dipperプロジェクト」を始めると言い出したときには戸惑ったものだ。形がまだなくても確信が持てるコンセプトというのはあり得るんだなと、3年越しに理解した。