縦読み漫画に出会ったのは高校生の時だった。
縦読み、タダ読み、comico!というCMが思い出される。広告通りタダで縦読み漫画を色々読めるとあって同級生たちの多くも漫画のキャラクターのスタンプを使っていたので読んでたんだと思う。「ReLIFE」とか「ももくり」とか。しかしcomicoは途中で課金制になったのでそこでかなりの同級生たちが離脱していったように見えたし私もそのうちの一人だった。
その頃にはアプリ内の漫画に韓国の縦読み漫画を翻訳したものが多くなっていて、くどいほどの美醜についての話に若干飽き飽きもしていた。
調べてみると、そもそも縦読み漫画は韓国発祥のものらしい。
web+cartoon(漫画)でWebtoonと呼ばれているのだとか。
(しかしWebtoonという名称は韓国以外の国では商標登録されているので日本ではSUMATOONや縦スク漫画など色んな名前で呼んでいるのが現状)
従来の横読み漫画だと巻売りが基本なところWebtoonは話売りなど、ちょこまか違いがあることもわかった。
数々の違いの中でも、何より、Webtoonはフルカラーで描かれるというのが一番の違いだろう。モノクロで印刷されることが多いためそもそもモノクロで描かれる横読み漫画に対し、縦読み漫画はスマートフォンの画面上でみることを想定してフルカラーのデジタル作画で制作されることが多い。そのため、韓国ではすでにアニメ会社のようにWebtoon制作スタジオがあるのだとか。人物担当、背景担当などに分かれて制作をするので作家個人の特徴が薄れやすいという傾向もあるらしい。
ふーん
少し前、「タテの国」というジャンプラで連載されていた縦読み漫画を読み切って、ずいぶん離れていたけれど縦読み漫画も面白いということを思い出した。
「タテの国」は縦読み漫画の特性を活かした画作りとコマ割りをふんだんに使ったSFで、縦スクロールによる映像的な効果が特に興味深かった。
縦読み漫画について解説しているブログによると「縦読み漫画は心理描写に長けている」とのことで、次は少女漫画を読んでみようと「氷の城壁」に手を出した。
男子2人女子2人の合計4人の高校生の恋愛模様を中心に、その周囲の同級生先輩後輩たちのリアルな心理描写が売りのようで、下に下に読み進めていくうちに一段一段梯子で心の底に向かって下に降りていくような感覚があった。
物語というものはさまざまな方向へ分岐し無数のアナザーストーリーの可能性があるわけだが、縦読み漫画はそれらの話たちを縦に長いキャンバスに矯正する。それって脊椎側弯のぐにゃりと曲がった背骨をまっすぐに直す手術と似た手つきを感じるなと思った。