2021年3月16日火曜日

腰が痛む日は右下から三本目の肋骨を医療用コルセットの上部にひっかけることが欠かせない。手でしっかり上からひっかけないと右肩が浮遊して、外からの圧が全部そこから煙突から出る煙みたいにふわふわ逃げていくような感じがする。ひっかけた肋骨はその蓋になっている。

蓋といえば、壺の底を取って蓋にする本末転倒な手遊びのことを思い出した。壺の中に入っているのが本当に茶なのであれば、それが茶葉であれ液体の茶であれ壺の底は最重要部品であり、真上からの埃を避けたいだけならやや上の側面に当たる部分から蓋を切り出すのが真っ当なのではと思った。しかしそんなことしなくても蓋というものは紙とか、板とか、皿とか、一時的であれば手のひらなど代用可能なものであるはずだ。

何かに蓋をする時、私たちは想像以上にたくさんの選択肢を与えられている。しかし目玉焼きをフライパンで焼いている時、茶壺のようにフライパンの底を蓋にしようとは誰も思わない。
蓋はふさがれるものたちの外部にあるはずなのだ。

2021年3月15日月曜日

 妹の犬歯が丸いのを笑ったと同時に、自分は八重歯だから犬歯がすり減ることが無いのだということに気がついた。犬歯とは常に鋭利なものだと認識していたけれど、それは咀嚼に使用しない場合のことだったのだ。