2026年10月22日木曜日

Claude × Blender の映像ができるまであれこれ

今日は、Claude CodeとBlenderを連携させて作った3DCG映像の習作をSNSに投稿した。1週間くらいかけて作ったものだ。AIを使うからといって、指示を出せばすぐにポンと映像が出てくるわけではない。BlenderをClaude Codeに代わりに操作してもらう、というのがイメージに近い。3Dに起こすための平面のスケッチをいろいろ描いて、それを立体にしてもらう。配置や流れ、カメラの位置など決めることはたくさんあって、一つずつ指示を出しながら進めていった。


前の日記にも書いたけれど、AIは0から0.7くらいまでを出すのはものすごく速い。そこまではほぼ1日でできた。大変なのはそこからだった。初めは人みたいな形の木がたくさん植わったオアシスを作りたかったのだけど、木の形が単調すぎた。昔撮った木の写真など参考資料もいろいろ集めたものの、結局写真は見せず、iPadで描いた平面のスケッチを元に作ってもらった。

これは一番初めのスケッチ

四角形から蝶の形にモーフィングする蝶番、という作品プラン自体は半年くらい前からあった。今年度いろいろな公募に出していたのだけど、残念ながら通らなかった。でもそのぶん、プランのために描いたスケッチがたくさんあったので、それをそのまま使って映像を作ってもらった。

初めはチャットで言葉で指示していたけれど、あまり通じないことがあった。そこで、プリビズという動く絵コンテのようなものと、PDFのコンテを逐一出力してもらい、コンテに赤入れをすることにした。冒頭の白い壁はもっと大きく、このカットはいらない、逆にこのカットはもっとじっくり見せたい、ネジの数はこう、といった具合だ。プリビズはBlenderから書き出すので、画質を下げても1時間くらいかかる。他にやることもあるし、1日に回せるのは、指示を出して書き出させるのを2回転くらい。それが作業量の上限で、これを1週間繰り返した。

今日は音楽も作った。

先週、日本一の歩道橋である中の島大橋を渡った。渡った先の小島にはヨットのような小さな船がたくさん停まっていて、帆を張るための金属の棒、たぶんアルミパイプ同士がぶつかり合って、鉄琴みたいな綺麗な音が響いていた。

背骨の手術を受けてすぐの頃、背中全体が分厚い鉄板になったような感覚があった。鐘がゴーンと低く響くような感じ。個展で発表した映像作品《I want to see my back. 4》は、その術後すぐの身体感覚を音で具現化しようとしたものだ。



そこから感覚は変わってきて、違和感は背骨の真上へとピンポイントになっていった。今は、もっとジャラジャラというか、ガシャガシャというか、金属同士がたくさんぶつかり合って響き合うようなイメージが、なんとなく頭の中に常にある。それが、小島で聞いたヨットの音と重なった。

まず、ヨットの音の動画を編集して、金属がぶつかり合う音をあえて誇張して響かせた映像を作った。



そうするうちに頭の中のイメージが固まってきたので、音楽も作ることにした。映像を見ながら、iPhoneの録音に向かって鼻歌を歌う。その鼻歌をMIDIファイルという楽譜のデータに変換する。MIDIにすると、ドレミに置き換えられた私の鼻歌を、ピアノやギターなどいろんな楽器の音で鳴らせるようになる。もともと金属の音のイメージがあったし、蝶番も金属なので、GarageBandという音楽編集ソフトで鉄琴の音に変換した。

鼻歌はリズムも何も考えず、気の赴くままに歌ったものだったので、そのままではかなり聞きにくい。GarageBandの、テンポに合わせる機能を使って若干リズムにハマるように整え、著作権フリーの音素材「Apple Loops」のビートや和音と組み合わせた。不思議だったのは、鼻歌を楽譜にしたら和音が結構あったことだ。全部自分の声で、一音ずつ出しているつもりだったのに、楽譜に起こすと和音になっている部分がまあまああった。

一気に作業を進めたように書いちゃったけど全くそんなことはない。集中が切れた時は、次に作りたい大作のフィレクロッシェの設計図を、Googleスプレッドシートで作り進めていた。今までは蝶番柄を一つだけ編んでいたけれど、次は四連のデザインにしてみようと思う。空き時間を全て捧げないと目標の期日までに完成しないかもしれないので、無駄に大きくなりすぎないようにした。作り目が少しでも多いと、それだけでかかる時間は何倍にも膨らむ。未来の自分を労りつつ、今やりたいデザインも叶える折衷案といったところだ。

それから、ポトフも作った。豚肩ロースに岩塩を擦り込んで2日ほど置き、水分を少し抜いたものを煮込んで一晩置く。浮いた油が白く固まるので、大量の油を捨て、白菜とにんじんをゴロゴロ入れて再び30分ほど煮込む。ポトフというか煮込み料理は、家でのPC作業とも相性がいい。30分に一回は様子を見に行かないといけないので、ちょうど良いタイミングで気分の切り替えになる。ここ1ヶ月くらいタンパク質をちゃんと取ろうと意識していて、豚、牛、鶏と、大きな塊肉をホロホロになるまで煮込む料理をいろいろ作ってきた。今日はそれを、ちゃんとポトフとして食べた。マヨネーズ、レモン汁、おろしニンニク、粗挽き胡椒を混ぜたアイオリソースをたっぷりつけたら、びっくりするくらいおいしかった。

2026年10月21日水曜日

レジェンドの思い出話と子規の絵日記

ガッと在宅仕事を終わらせて、ネイルを付け替えに行った。爪は緑がかったベージュになった。瓶詰めのマッシュルームを思い出す色味だ。新宿オカダヤでダルマの80番レース糸を買い足して、大学に向かった。

大学では、ホスピタルアートの先駆者の特別講義を聞いた。会場には学生よりも、外部から来たご年配のお客さんが多く見えた。私の祖母くらいの世代には、とても有名な方らしい。

講義を聞いて、レジェンドというのは経験したことをそのまま話すだけで、めちゃくちゃ面白い話になるのだなと思った。聞き手は時々、「つまりこういうことが起こったんですよね」と、かいつまんだ説明を挟んでいた。第三者によるダイジェストの方が、物語としてはわかりやすい。でも、レジェンドの話のところどころに入る妙に詳細な部分は、省略しきれないところにこそ情報があると受け取った方が良いのかもしれない。上野千鶴子も、情報はノイズから生まれるって言ってたし。

行きも帰りも、電車の中ではずっと正岡子規の『仰臥漫録』を読んでいた。結核菌が背骨に転移して寝たきりになった子規の、死の前年から直前までの日録だ。三食なにを食べたか、便通、体温といった記録に、俳句や素描が交ざっている。まず、毎日めちゃくちゃいろんなものをたくさん食べていてびっくりした。多分食べすぎたせいで、お腹が痛くなって泣いている日もあった。私も退院後すぐ、胃腸が本調子でないにも関わらずブロンコビリーに行って、案の定一晩中腹痛で苦しんだことがあったなと思い出した。

本を読みながら、本の内容とはほぼ関係ないのだけど、2030年までのアーティストとしての目標が急に決まった。また指導教官をびっくりさせてしまうかもと思ったが、最近はびっくりに慣れてきて、楽しみですらあると言われたのだった。そういえば修士修了直前、つまり博士受験の前に、荒川さんが確信に満ちた目で「Jam Dipperプロジェクト」を始めると言い出したときには戸惑ったものだ。形がまだなくても確信が持てるコンセプトというのはあり得るんだなと、3年越しに理解した。

2026年10月20日火曜日

汚水マンホールの水琴窟

在宅の仕事を進めつつ、たくさん料理をした。朝はグリーンカレー風のスープカレーにオートミールを入れたもの、昼は菜の花を大量に入れたラーメン、夜は大宮の伯爵邸のシーフード入りナポリタンを再現したもの。おやつに昨日の残りの巨大フィナンシェを食べて、晩御飯の前には黒糖と生姜のシロップも仕込んでおいた。一晩寝かせてから濾す。

ClaudeとBlenderを連携させたアニメーション制作は、あとは書き出すだけというところまできた。高画質で書き出すと14時間かかるらしい。書き出しが本格的に始まるとパソコンが熱くなって動きも少し鈍くなるので、その前にPC仕事を済ませておく。

夕方、注文していた本たちが郵便受け、駅前の宅配ボックス、図書館とそれぞれ別の場所に届いたので、車で回収して回った。移動中は、坂本龍一の最後のアルバムを聴いてみることにした。音による闘病記とも言える作品だ。20分くらい同じようなメロディーがずっと続くなと思い、信号待ちの時に見てみたら、1曲目がリピートされているだけだった。2曲目に進んだら全然違う曲調で、初めて聴くから気づかなかったことだなと思った。

夜は散歩したあと、アトリエに行ってドローイングの実験の続きを進めた。
昨日の散歩では、荒川さんと「住民しか知らない観光名所」を取りまとめた。水琴窟みたいな音がずっとしている汚水マンホール、汚れなのか絵なのかわからないけれど可愛い星空みたいになっている壁、めちゃくちゃ大きなサボテン、大通りが青信号になると車のランプが次々に映り込んで綺麗に光る公衆トイレなどなど。今日の散歩では、汚水マンホールにどこまで近づけば水音が聞こえるのか試して遊んだ。

ドローイングの実験結果は微妙だった。油絵の具はもう少し厚塗りでも良かった。今試しているのは、油絵の具を仕込んだら必ず翌日中に作業しないといけない技法だ。計画的にやらないといけないのは少し大変だけど、工程がバラけていて一気に進められないところが良い。銅版画も漫画も、一つ前の工程を作業した自分がちょっと他人みたいなところがある。工程ごとに、全く違う頭の使い方をする。

2026年10月19日月曜日

パンチェッタと大きな金塊

 先週、福尾匠さんのウェブサイトの「ランダムに日記に飛ぶボタン」を押したら、パンチェッタの作り方とアレンジについて書かれた日記が出てきた。パンチェッタは、燻していないベーコンのようなものらしい。ちょうど市販のベーコンの、水飴でふやかされたような感じがなんだかなと思い始めていたので、早速作ってみることにした。とはいえ、あのぷるっとした感じがむしろ食べたくなる日もあるにはある。

冷蔵庫の中で塩をすり込んだ豚バラの塊を乾燥させて1週間。出来上がったパンチェッタをたっぷり入れて、カルボナーラを作った。全卵ではなく卵黄だけを使う、栗原はるみのレシピだ。栗原はるみは楽さよりもおいしさを優先するイメージがある。躊躇なく卵白を余らせてくる。余った卵白で、栗原はるみは何を作るんだろう。

ボウルに残った二つ分の卵白で、私はお菓子を作ることにした。1ヶ月前にマイブームだったオートミールパウンドケーキ用に買い溜めしていたアーモンドパウダーを発掘し、家にあるもののだいたいの量を伝えて、これらで作れるフィナンシェのレシピをClaudeに出してもらった。


今日我が家にあるもので作れるフィナンシェの材料(パウンド型1台分)

バター 60g
卵白 2個分(70gくらい)
砂糖 60g
塩 ひとつまみ
アーモンドパウダー 35g(ちょうど1パックだった)
薄力粉 25g

まずバター60gを焦がしバターにする。焦がしバターができたら、小鍋ごと水を張ったボウルに入れる。必要以上に焦げないように、かといって冷えて固まらないようにも気を付ける。卵白2つに砂糖60gと塩ひとつまみを入れてすり混ぜ、アーモンドパウダー35gと薄力粉25gを振り入れて、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。そこに焦がしバターを3回に分けて加える。バターを入れるたびに、ツヤが出るまで混ぜるのがコツらしい。あとは190度に予熱したオーブンで15分焼く。うちのオーブンとパウンド型の条件だと15分では表面がまだこんがりしていなかったので、追加で5分半焼くと、表面がカリッとして割れ目もできていた。フィナンシェの表面の真ん中に割れ目が入ることは「腹割れ」とも言うらしい。

卵白をメレンゲにしなくて良いのが楽だった。焦がしバターさえできれば、あとは混ぜるだけ。焦がしバターを作る間も、オーブンを予熱する間も、キッチンがとてもあたたかくなる。これから寒くなる時期にぴったりなお菓子だと思った。

家にはパウンド型しかないので、巨大なフィナンシェができた。焼き立てのフィナンシェは、びっくりするくらいおいしかった。バターたっぷりのお菓子はミルクティーによく合う。ちなみに、フィナンシェという名前は金塊に由来するらしい。これがもし本物の金塊だったら、ものすごい価値だろうなと思った。

2026年10月18日日曜日

出席扱いと秋の秋田

団地のお休み処の15周年を祝うお祭りに行った。終盤からだったけれど、市の教育長、団地の運営側の人、アートプロジェクトのディレクターなどによるトークイベントを聞いた。市の教育長によると、最近の中学校では、学校を休んでディズニーランドに行っても、そこで何を学んだのかをきちんと申請できれば出席扱いになるという。勝手に課外活動をするようなことが許されているらしい。教育長は、このお休み処も子どもの居場所の一つとして、ここで過ごすことが出席扱いになるような場にしていきたい、そのためには運営に関わる大人たちにこのことを知っていてほしい、というような話をしていた。

身近に義務教育課程の子どもがいないので、そんなことになっているとは知らなかった。不登校研究をしている人は周りに割といて、一緒にワークショップをしたこともあるのだけど。社会全体で、画一的でない多様な学びの形を許容する流れになってきているのだろう。

月末にゼミで秋田へ行くので、それまでに博士課程の制作と執筆のスケジュール、エスキースなどの資料を紙の上でまとめて、見せられるようにしたい。そこで1時間くらい散歩をして、無印でノートとルーズリーフを手に入れてきた。行きはよく知っている道を、帰りは全く知らない道を通った。近所にもまだまだ知らない道がある。普段は車移動が多いので、歩きや自転車でこそ近道になるような細い道に入る機会が少ないからだと思う。

先月秋田に行った時、関東とあまり気温が変わらないなと思った。それでゼミの時に「10月末の秋田って、まだそんなに寒くないですよね?」と尋ねてみた。すると秋田経験者がみんな、歯を食いしばってガタガタ震えるジェスチャーをしてきてちょっと面白かった。すでにめちゃくちゃ寒いらしい。関東はまだ厚着すると暑いので、薄手の長袖に密度の高いダウンジャケットを持っていくのがちょうど良いのかなと思った。秋田の暖房はガンガンに効いていることが多いのかも確認しておけばよかった。