2026年10月20日火曜日

汚水マンホールの水琴窟

在宅の仕事を進めつつ、たくさん料理をした。朝はグリーンカレー風のスープカレーにオートミールを入れたもの、昼は菜の花を大量に入れたラーメン、夜は大宮の伯爵邸のシーフード入りナポリタンを再現したもの。おやつに昨日の残りの巨大フィナンシェを食べて、晩御飯の前には黒糖と生姜のシロップも仕込んでおいた。一晩寝かせてから濾す。

ClaudeとBlenderを連携させたアニメーション制作は、あとは書き出すだけというところまできた。高画質で書き出すと14時間かかるらしい。書き出しが本格的に始まるとパソコンが熱くなって動きも少し鈍くなるので、その前にPC仕事を済ませておく。

夕方、注文していた本たちが郵便受け、駅前の宅配ボックス、図書館とそれぞれ別の場所に届いたので、車で回収して回った。移動中は、坂本龍一の最後のアルバムを聴いてみることにした。音による闘病記とも言える作品だ。20分くらい同じようなメロディーがずっと続くなと思い、信号待ちの時に見てみたら、1曲目がリピートされているだけだった。2曲目に進んだら全然違う曲調で、初めて聴くから気づかなかったことだなと思った。

夜は散歩したあと、アトリエに行ってドローイングの実験の続きを進めた。
昨日の散歩では、荒川さんと「住民しか知らない観光名所」を取りまとめた。水琴窟みたいな音がずっとしている汚水マンホール、汚れなのか絵なのかわからないけれど可愛い星空みたいになっている壁、めちゃくちゃ大きなサボテン、大通りが青信号になると車のランプが次々に映り込んで綺麗に光る公衆トイレなどなど。今日の散歩では、汚水マンホールにどこまで近づけば水音が聞こえるのか試して遊んだ。

ドローイングの実験結果は微妙だった。油絵の具はもう少し厚塗りでも良かった。今試しているのは、油絵の具を仕込んだら必ず翌日中に作業しないといけない技法だ。計画的にやらないといけないのは少し大変だけど、工程がバラけていて一気に進められないところが良い。銅版画も漫画も、一つ前の工程を作業した自分がちょっと他人みたいなところがある。工程ごとに、全く違う頭の使い方をする。

2026年10月19日月曜日

パンチェッタと大きな金塊

 先週、福尾匠さんのウェブサイトの「ランダムに日記に飛ぶボタン」を押したら、パンチェッタの作り方とアレンジについて書かれた日記が出てきた。パンチェッタは、燻していないベーコンのようなものらしい。ちょうど市販のベーコンの、水飴でふやかされたような感じがなんだかなと思い始めていたので、早速作ってみることにした。とはいえ、あのぷるっとした感じがむしろ食べたくなる日もあるにはある。

冷蔵庫の中で塩をすり込んだ豚バラの塊を乾燥させて1週間。出来上がったパンチェッタをたっぷり入れて、カルボナーラを作った。全卵ではなく卵黄だけを使う、栗原はるみのレシピだ。栗原はるみは楽さよりもおいしさを優先するイメージがある。躊躇なく卵白を余らせてくる。余った卵白で、栗原はるみは何を作るんだろう。

ボウルに残った二つ分の卵白で、私はお菓子を作ることにした。1ヶ月前にマイブームだったオートミールパウンドケーキ用に買い溜めしていたアーモンドパウダーを発掘し、家にあるもののだいたいの量を伝えて、これらで作れるフィナンシェのレシピをClaudeに出してもらった。


今日我が家にあるもので作れるフィナンシェの材料(パウンド型1台分)

バター 60g
卵白 2個分(70gくらい)
砂糖 60g
塩 ひとつまみ
アーモンドパウダー 35g(ちょうど1パックだった)
薄力粉 25g

まずバター60gを焦がしバターにする。焦がしバターができたら、小鍋ごと水を張ったボウルに入れる。必要以上に焦げないように、かといって冷えて固まらないようにも気を付ける。卵白2つに砂糖60gと塩ひとつまみを入れてすり混ぜ、アーモンドパウダー35gと薄力粉25gを振り入れて、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。そこに焦がしバターを3回に分けて加える。バターを入れるたびに、ツヤが出るまで混ぜるのがコツらしい。あとは190度に予熱したオーブンで15分焼く。うちのオーブンとパウンド型の条件だと15分では表面がまだこんがりしていなかったので、追加で5分半焼くと、表面がカリッとして割れ目もできていた。フィナンシェの表面の真ん中に割れ目が入ることは「腹割れ」とも言うらしい。

卵白をメレンゲにしなくて良いのが楽だった。焦がしバターさえできれば、あとは混ぜるだけ。焦がしバターを作る間も、オーブンを予熱する間も、キッチンがとてもあたたかくなる。これから寒くなる時期にぴったりなお菓子だと思った。

家にはパウンド型しかないので、巨大なフィナンシェができた。焼き立てのフィナンシェは、びっくりするくらいおいしかった。バターたっぷりのお菓子はミルクティーによく合う。ちなみに、フィナンシェという名前は金塊に由来するらしい。これがもし本物の金塊だったら、ものすごい価値だろうなと思った。

2026年10月18日日曜日

出席扱いと秋の秋田

団地のお休み処の15周年を祝うお祭りに行った。終盤からだったけれど、市の教育長、団地の運営側の人、アートプロジェクトのディレクターなどによるトークイベントを聞いた。市の教育長によると、最近の中学校では、学校を休んでディズニーランドに行っても、そこで何を学んだのかをきちんと申請できれば出席扱いになるという。勝手に課外活動をするようなことが許されているらしい。教育長は、このお休み処も子どもの居場所の一つとして、ここで過ごすことが出席扱いになるような場にしていきたい、そのためには運営に関わる大人たちにこのことを知っていてほしい、というような話をしていた。

身近に義務教育課程の子どもがいないので、そんなことになっているとは知らなかった。不登校研究をしている人は周りに割といて、一緒にワークショップをしたこともあるのだけど。社会全体で、画一的でない多様な学びの形を許容する流れになってきているのだろう。

月末にゼミで秋田へ行くので、それまでに博士課程の制作と執筆のスケジュール、エスキースなどの資料を紙の上でまとめて、見せられるようにしたい。そこで1時間くらい散歩をして、無印でノートとルーズリーフを手に入れてきた。行きはよく知っている道を、帰りは全く知らない道を通った。近所にもまだまだ知らない道がある。普段は車移動が多いので、歩きや自転車でこそ近道になるような細い道に入る機会が少ないからだと思う。

先月秋田に行った時、関東とあまり気温が変わらないなと思った。それでゼミの時に「10月末の秋田って、まだそんなに寒くないですよね?」と尋ねてみた。すると秋田経験者がみんな、歯を食いしばってガタガタ震えるジェスチャーをしてきてちょっと面白かった。すでにめちゃくちゃ寒いらしい。関東はまだ厚着すると暑いので、薄手の長袖に密度の高いダウンジャケットを持っていくのがちょうど良いのかなと思った。秋田の暖房はガンガンに効いていることが多いのかも確認しておけばよかった。

2026年10月17日土曜日

蝶番の群れとカピカピのお米

朝起きてすぐ、2時間くらいClaude CodeとBlenderを連携して3DCGアニメーションを作る方法を試していた。蝶番の群れが飛ぶ映像を試しに作っていて、昔描いたイメージボードや、夏休みの間に別々の場所で2度出会った鳥の大群の映像を読み込ませた。片方はムクドリ、片方はシラサギの群れで、その飛ぶ動きをトレースさせた。AIは0から0.7くらいまでを作るのがとんでもなく速く、ざっくりこういうイメージ、というところまではすぐにできた。でもここからが難しい。微妙に違うニュアンスを伝えても、伝わることもあれば、一向に伝わらないこともある。言葉での指示を諦めて、プリビズと赤入れ用の絵コンテを出力してもらった。明日はひたすら手作業でAIの成果物に赤入れをして、どこまで修正してもらえるかを確かめる。

Claudeが映像を書き出すのにはそこそこ時間がかかるので、待ち時間にレースを編み、溜まっていたブロッキング(編み上がったレースを濡らして形を整える作業)も少し済ませた。理想的な細かさのフィレクロッシェを目指して試行錯誤した結果、80番の糸ならそこそこ入手しやすく、理想に近い細かさになるとわかった。今はひたすら編むフェーズにいる。

ダルマの80番レース糸を使い切ったので、今はDMCの80番を編んでいる。同じ80番でも、糸の柔らかさの違いで編み上がりのサイズが若干違うことが編んでみてわかった。ダルマの方が柔らかい。柔らかいが故に特に序盤はかなり編みにくいのだけど、とても繊細なニュアンスが出る。DMCは糸にハリがあって、編み目に少し隙間ができてしまう。1辺20cmを超える大きめの作品なら全く問題ないが、1辺10cm以下のレースを編んでいる身としては少し物足りない。ただ、ハリがあるぶんとても編みやすいので、プロトタイプや素早く仕上げないといけないものには良いかもしれない。

最近、コクヨのワーキングチェア「ingLIFE」を家に導入して、あらゆる作業が捗っている。無理やりソファで作業していた頃に比べて腰は痛くならなくなった。ただ、肩甲骨の間の背骨周りの筋肉がカピカピになったお米みたいになり、バキッと衝撃が走りそうで、思うように身体を動かせなくなる時がある。ここはまさに、脊椎側弯症の手術で背骨の移動距離が一番長かったであろう箇所だ。背骨の移動に従って、周辺の筋肉の配置も大改造されている。ここ4年くらいは背中全体が痛み、感覚がマスキングされている感じがずっとあった。それが徐々に、一番の原因の箇所だけがピンポイントで痛むようになってきた。

メンソレータムの「ラブ」という塗り薬がある。筋肉痛、腰痛、関節痛、肩こりなどに効く塗る湿布のようなものなのだが、このラブが側弯の手術後の筋肉の強張りに結構効く。ちょうど、カピカピになったお米に霧吹きで水をかけて、少し弾性を取り戻させるように。

2026年10月16日金曜日

ユーザー車検と日本一の歩道橋

車ユーザー歴6年目にして初めてのユーザー車検。ナンバー灯が片方切れていて、やり直しになった。2時間以内に直して戻ってくれば追加料金はかからないというので、急いで近くのイエローハットで直してもらった。整備士のお兄さんによると、ライトは叩けば一時的につくことが多く、そうやってその場を乗り切る人もよくいるらしい。店内には「クリアな瞳で美しさ際立つヘッドライトの目力UP」という、カラコンの広告のようなポスターが貼られていた。ヘッドライトが目に見えることは誰もが知っている、という前提なのがちょっと面白かった。

その後、日本で一番大きな歩道橋という中の島大橋へ行った。いわゆる歩道橋は横断歩道のない大きな道路を渡るためのものだが、ここは東京湾に浮かぶ小島へ渡るための橋だった。歩道橋なので、渡れるのは歩行者と自転車だけだ。島には広い草原が広がり、ベンチが点々と置かれていた。シーズンには潮干狩りもできるらしい。島の奥には小さな舟がたくさん泊まっていた。おそらく帆を張るための金属の棒が、舟が波に揺られるたびにぶつかり合って、鉄琴のような音を立てていた。橋の上では、カップル一組と中学生三人組と釣り人とすれ違った。

帰り道、ガラス工場から大きな蝋燭のような炎が上がっているのが見えた。炎はボッボッボッとリズミカルに、大きくなっては小さくなっていた。夜通しガラスは溶かされて、形を変えていくのだろう。