昨日の理科の先生の話から芋蔓式に色々思い出した。
小学校という場所は理不尽に怒られることが割とある。それはトラブルの原因側が被害者面をしたり、誰も説明が上手くないことから起こる悲劇なのだと思う。理科の先生は、結果的に誰が泣いたかではなく、わだかまりがどういう経緯で生まれたのかにちゃんと耳を傾けようとする稀有な先生だった。
大豆を発芽させる実験に数週間かけて取り組んだ時のこと。4人班で大豆の発芽をどういう条件の違いで実験するかを決めて、実際やってみるというような内容だった。
ある班がこの実験をするにあたって揉めに揉めた。一人の女子が水の代わりに紅茶を使ってみたいと主張したが、他の班員はあんまり乗り気じゃなかったとかだったと思う。最終的にその女子は紅茶の実験を強行した。他の班員は別で実験をやったのか折れて班としてその紅茶の実験をさせてあげることにしたのかはわからないが、なぜか数週間後にその紅茶強行女子が泣いて、3人の班員たちが理科の先生に呼び出される事態となった。
呼び出されたうちの一人がまあまあ仲良くしている人で、戻ってきたその子が「理科の先生は本当に良い先生だった」といたく感動しながら何があったのか話してくれた。その子は呼び出された時点で絶対怒られると思っていたが、なんでこんな風に揉めるに至ったか優しく尋ねられて、今後似たようなトラブルがあった時にどう対応することができるか一緒に考えたらしい。
小学校の先生の多くは涙を流した側を守って、涙を流させた側を怒っていた。
女子を泣かせてばかりで怒られていたある男子は、先生にとって問題児だったのだと思う。でも実際は女子が少し嫌なことをその男子に言って、男子が仕返しに手を出すか暴言を吐いて、結果的に言い出しっぺの女子が泣くというのがお決まりであった。まあ、その男子は嫌なことを言われた仕返しに髪を引っ張ることが多くて、それは良くないが罠にかけられた気持ちだろうなと思っていた。その男子はよく三人でつるんでいて、女子と揉めて仕返しすると一人は「やったれやったれと」口だけで加勢して、仕返しされた女子が泣くと最後の一人が「いつもごめんな」と代わりに謝るのもお決まりであった。最後の一人だけがモテていて、そりゃそうだと思っていた。
ある日、いらんことを言ったせいで髪を引っ張られて泣いている女子に、先述のモテている男子が慰めの言葉をかけに行くのを見た。彼は「髪って少ない量引っ張ると痛いけど束やとそこまで痛くないやろ。ポニーテール引っ張ったってことはあいつもそんな痛くしたかったわけちゃうやろからわかったって」というようなことを言っていた。
こっそり試すと確かに髪の毛を数本で引っ張ると痛いけれど、束で引っ張るとそこまで痛くない。なるほどと思いつつ、髪を引っ張る側の心理を解説してもそんなに慰めにはならないよと思った。