2025年6月15日日曜日

身長のことと理科の先生のこと



群馬まで展覧会の作品設営に来ている。
久々に側弯手術直後に手がけた作品を再展示して、術後2年を目前にして背骨の違和感がずいぶん薄らいできていることを実感した。設営作業を終え温泉に浸かっている時、「新身訓練」に書かなかった身長についての話を思い出したので書いてみる。

私は脊椎側弯症手術をして身長が4cmちょい伸びた。元々163cmくらいだったのが今は167cmちょいある。身長の話をすると、相手から「もっと身長あるよ」と言われることがままある。163cmの時は自称160cmある人に、167cmになってからは自称170cmある人に特に主張される。
自称160cmある人からすると私より3cm以上低い=身長160cmもないということになるからで、自称170cmある人からすると私とほぼ身長が同じ=身長170cmないことになるからだと思う。160cm /170cmというラインを大切にしている人は案外多いらしく、私の身長を聞いて焦る人を何人も見てきた。

意識を宿に戻す。寝る前、夜食サービスを受けに食堂に行った。
中華そばを食べながらテレビに目をやると、桑田佳祐が自分の音楽人生を回顧する番組が流れていた。桑田佳祐で思い出すのは、小学校の理科の先生のことである。
通っていた小学校では隔年でオーストラリアの姉妹校と交換留学のしあいっこをしていて、私は6年生の時に約2週間オーストラリアに行った。滞在期間約2週間のうち半分はホームステイをすることになっていて、ホームステイ先のマッチングのために事前に自分の簡単なプロフィール資料を英語で作って提出する必要があった。
そのプロフィール資料を提出し終えたある日。担任の先生が授業中に「理科の先生のプロフィール資料を覗き見したら、自分の写真を貼る欄に桑田佳祐の写真を貼っていた」という話をしだした。小学生だった私はサザンオールスターズのことをあんまり知らず、多分他のクラスメイトもピンときていなかったためか誰も笑うことなくその話は終わった。担任の先生は「もっとイケメンの写真に差し替えるならわかるけど〜」云々と言っていた。
後日テレビで桑田佳祐を見て、確かに理科の先生の方が背も高いしかっこいいのになんでそんなことをしたんだろうと時間差で疑問に思ったのだった。

その理科の先生は私たちが3年生になって理科の授業が始まるより前はとても怖い先生として有名だったらしい。何かがあってしばらくお休みを挟んだあと、とても優しい先生になったと噂で聞いた。背が高くて声が低い、渋い感じのおじさんの先生だった。写真を差し替えるなら桑田佳祐より吉川晃司の方がわかる感じの。でも人は自分にないものを持っている人に惹かれるものなのかもしれない。