2025年6月8日日曜日

浅草と現美

今日は浅草でのZINEの即売会に行ったあと、東京都現代美術館で岡﨑乾二郎の個展を見た。

はじめに乗った電車で向かい側のお爺さんの足元にタツノオトシゴみたいなのが落ちていて、よく見たらお菓子のパッケージだった。
浅草行きの電車に乗り換えたら、途中駅停車中に子犬の鳴き声とこどもの泣き声の間みたいな声が聞こえてきて、乗客が一斉に音のする方向を向いた。
終点の浅草では後方車両の扉が開かないらしく、みんなゾロゾロと先頭車両方向に移動していったので着いて行った。扉が開いている車両まで辿り着くと、車両の一番後方の扉を駅員さんが通せんぼしていた。扉の左右にある手すりを持って直立していて、磔にされたキリストみたいなポーズだなと思った。その駅員の足元を見ると電車とホームの間が30cm近く空いており、危ないからそうしているらしかった。

ZINEの即売会では、路上占い師が路上で考えていることについて書かれた本と、工芸史研究会の論考集みたいなのを買った。自分が今まで参加したことがある即売会よりも机の奥行きが大きくて、手に取りやすいよう段差をつけるなどディスプレイに凝っているブースが多かった。急いでいたので30分ちょいでざっと回って出た。

清澄白河駅で待ち合わせをして、岡﨑乾二郎展を見に行った。服の型紙から線を抽出してできた様々な形が切り取られ、角と角で留め合わせることで立体になっている作品から始まり、それを拡大したような大きな彫刻、絵本や漫画、タイルに様々な形が描かれたもの、大きな絵画作品、紙粘土を拡大したような立体作品、表面がどろどろした大きな象の立体と作品の展開が追えるような構成になっていた。大きな絵画作品はスライムのように透明感のある絵の具を白いキャンバスにべたっと配置していくように作られていて、ある特定の形を描こうとしているわけではなさそうだった。椅子があったので休憩がてら座ってその大きな絵画作品を眺めていると、同行者が急に「骸骨みたい」と言い出した。私はすぐに右から二番目の絵のピンク色の絵の具のかたまりの箇所のことだと分かり、「ああ、鷲鼻だね」と返した。

その後、コレクション展に移動した。展示作品の中に、大きな白いキャンバスの真ん中に丸く穴が空いているのがあった。同行者が「こういうの学生作ってそう」と少々失礼な感想を言うのを聞きながら通り過ぎようとしたら、監視員の女性に「これは握手する絵画です」と話しかけられた。オノヨーコの作品だった。せっかくだから体験するかということで、キャンバスの表面と裏面と交代で二回キャンバス越しに握手をした。なんか良いかも…となりながら作品を後にしようとすると、さっきの監視員が「良い絵ですよね」と言ってきた。鑑賞者にそう言いたくて、体験を促しているらしい。そんな向上心のある監視員がいるのかとちょっと感心した。コレクション展の作品の中に田中敦子によるベルの作品があり、会場には何分かごとに非常用ベルのような音が響いていた。会場に入る前はベルの音を聞いて「なんか盗みでもあったのか」と思っていたが作品だった。展示台の上にボタンがあり、「23秒以上押してください」みたいな指示が書いてある作品で、言う通りに押すと爆音で非常用ベルの音が鳴り響く。大体の人はびっくりして一瞬で手を離してしまうが、時々鳴り続けることがあり、肝が据わってるなと思った。