2021年6月15日火曜日

骨太

私は幼少期より親や祖父から「智萌(ちゃん)は骨太だ」と言われてきた。

それが原因だと思われる不都合は今まで特になかったので、骨太の定義を確認することもなく自分は骨太なんだなあと鵜呑みにして生きている。

そんな中、先月くらいから週に二回整骨院に通うようになって、自分のからだについて教えてもらえるようになった。側弯による腰痛とあばらの痛みの改善がメインなのだが、他の部位の状態についてやトレーニングなど、聞けばいろいろなことを教えてくれる。

先日、私は足首について尋ねた。
私の脚はふくらみとくびれがかなり少ない円柱に近い状態で、それは親や祖父からすれば「骨太だから」とのことだが本当か?というのと、足首がもう少し細くなれば見た目のバランスがよくなりそうなんだが別にむくんでいるわけではないので、YouTubeにたくさんあがっているような足首マッサージが効かないなと思っていたからだった。

整骨院の先生は私の足首を一周ぐるっと指で軽く押しながら触った後、
「普通、膝下から足にかけて伸びている二本の骨を足首あたりにあるバンドのような筋肉で束ねているんだけど、なんかのタイミングでやっちゃってそのバンドが切れてるね」
と言った。

私はスーパーで売られている小松菜の、小松菜を束ねるテープを切った瞬間を思い浮かべた。

「そのバンドは再生しないんですか」
「時すでに遅しだね。足捻ったらすぐにサポーターとかで固定するのが大事なんだよ」

小学校低学年の頃に無理してヒールを履いて足を捻ることはよくあったので、どれが直接的な原因だったかは今更確認しようがないけれど一度も腫れるような大事にはならなかったので、徐々にダメージを受けて、知らず知らずのうちに切れたということだろう。

つまりどうしようもないということだ。

それがわかっただけで良かったと思う。



「“気になる”ことで無駄なエネルギーを消費するくらいなら、うなじにあるそのイボとホクロの間のものは手術で取ってもいいんじゃない」とこの前の帰省時父に言われたことを思い出した。

つい気になって触ってしまうんだということを話した時の返答で、これはそれくらい思い切って良いことなのかと思って印象的だった。

“気になる”ということは良くも悪くも意識のリソースを割くことなのだ。

とはいえ、つい後回しにしてしまいがちなのも事実だ。

「取り除いたほうが良い“気になること”をひとつひとつ取り除くことは、時間も労力も厭わなくて良い」と石にでも刻むかと思った。

2021年6月14日月曜日

まつ毛の発見と恐怖の自然消滅マニュアル

昨日寝る前に行方を見失ったまつげが目の隅のほうにあるのを見つけた。

試行錯誤してやっと取れたまつげを確認したところ、二本のまつげがまとまって太い一本に見えていたことがわかった。私はメガネを外さないと鏡を使って目をじっくり見ることができないので、あまりそのときの自分の認識を当てにしない方が良いということもわかった。

それよりも目に入ったまつげ史上一番粘性のある液体に包まれていたことの方が印象的だった。透明なジェルみたいな感じ。

そのおかげか目の中から取り出そうと試行錯誤して、まつげが下瞼の裏に刺さりかけたり黒目の上を泳いでも特に痛みは感じなかった。昨夜みた生き物についての番組でカエルの出産を特集していて、そのことを思い出した。

目ってものすごく取り外し可能そうな見た目をしているけれど、視神経や筋肉が後ろ半分についているからそういうことはできないんだよな。
目が取り外せそうと今でも思うのは、幼少期に母から学生時代に牛の目玉の解剖をしたエピソードを繰り返し聞かされていたからかもしれない。

取り出された目玉のイメージが刷り込まれている気がする。

母は毎回そのとき見た水晶体の美しさを力説してくれるので、私も学校で解剖の授業をやる日を楽しみに思っていたが、私が解剖する機会に恵まれたのは蚕と犬の餌にもなる鶏の頭の煮付けだけだった。

解剖というのはえずきそうになる身体を体内にコピペして胃のサイズまで圧縮して自然消滅させるとなんの躊躇もなく挑めます。この、どうにか克服したい対象に対峙する素直な状態の身体をコピペして圧縮して消滅させる戦法は自分の人生の中で結構役立っている気がする。

この戦法をマニュアル化したのは中学の美術の宿題がきっかけだったと思う。

美術の宿題でモナリザについて調べないといけない日があった時のことだった。
私はモナリザがかなり怖いのでモナリザの目にマスキングテープを貼って目が合わないようにしてその日はどうにかやり過ごした。それから少し経ったある日、アステカ文明のトルコ石で装飾された仮面について調べる宿題が出てあまりの怖さにお手上げの状態になった。
(テスカポリトカとケツァルコアトルの仮面だったと思うので気になる人は調べてみてください)

この時初めて恐怖する自分の自然消滅を意識的に行った記憶がある。

言葉で説明するのが難しいのだけど、自然消滅を早送りするようなイメージなので結構疲れるし気合がないと厳しい。現に今気合が足りないのでアステカ文明の仮面の詳細の確認を怠ったまま日記に書いている。
気合がある時に確認して間違いがあれば後日修正することにします。


2021年6月13日日曜日

まつ毛とマニキュア

何度まばたきをしても目の中に入った一本のまつ毛が茶柱みたいに縦に居続けて釈然としない。立っているとまつ毛も縦になるので下瞼裏に刺さりそうだなとか不安に思うけれど、寝てしまえばまつ毛が地面と平行になるので心配が半減する気がした。

最後の希望として目薬をさしてみたらまつ毛を完全に見失った。
どさくさに紛れて外に出ていてくれたら嬉しいけれど、裏にまわったんじゃないかというあらぬ心配を抱く結果になった。

今日ははじめてデパートでマニキュアを買った。
クリアな青い色で、少し赤いラメが入っているものにした。
袋代は商品代に含まれているらしく、小さなブランドロゴの入った紙袋に入れてくれた。その紙袋の持ち手が細くよじった和紙をリリアン編みしたような不思議な触感だったので、持ち手だけ切り取ってぬいぐるみのパーツ用に取っておいた。

マニキュアは3度塗りした。
シーグラスが爪についているみたいで目に入るたびにちょっとおもしろい。