同級生何人かで串屋さんに入った。
8種盛りを頼んだら豚・鶏・うずら・チーズ・生姜・ヤングコーン・ささみ・海老がきて、ひとまず海老を食べた。海老の尻尾を取り皿に置いたら、正面に座っていた同期に「もらっていい?」と言われて、断る理由もないので譲った。同期は食べさしの海老の尻尾を嬉しそうに食べていた。
それを見て
「歯がねえのに、しっぽは無理だえなあ、婆っちゃ。えびは、しっぽを残すのせ。」
と、父親が苦笑いして言った。
そんなら、食う前にそう教えてくれればよかった。姉の皿を見ると、やはりしっぽは見当たらなかった。姉もこちらの皿を見ていた。顔を見合わせて、首をすくめた。
「歯があれば、しっぽもうめえや。」
姉がだれにともなくそう言うので、
「んだ。うめえ。」
と同調して、その勢いで二尾目のしっぽも口の中に入れた。
という「盆土産」の一説を思い出した。
確か中学の国語の授業でやったやつ
彼は歯があるから海老の尻尾がうまいんだなと思った。私にも歯はあるのに。