昨日は色々な検査を受けた。
身長体重計測、6本の採血と検尿、仰向けと立像のレントゲン、CTスキャンをやった。
特に仰向けのレントゲンが印象的だった。
この検査は私の背骨のポテンシャル確認のため、仰向けに寝転んだ私の頭部と脚を引っ張って背骨がどこまで伸ばせるのか、S字はどれだけI字に近づくのか見るものである。
検査の流れを思い出してみる。
いつも立ってレントゲンを撮っていたので拍子抜けしつつ硬い樹脂製の台に仰向けに寝転ばされるやいなや、首のコルセットのような頭を引っ張りやすくするための器具を装着された。するとバックヤードから現れたプラス2人の技師に片方ずつ脚をしっかり抑えられ、その状態でカウントが始まった。レントゲン写真がブレないように息を吸って止めた瞬間、グッと頭部を引っ張られた。じわじわとではなく撮影の瞬間にグッと引っ張られたので、思わぬ勢いに首がバキバキバキ!といって技師さんにめちゃくちゃ笑われた。でもバキバキいっただけで、引っ張られたことによって背骨が伸びた感覚はあまりなかった。しかし撮られたレントゲンを見ると思ったより伸びていて、担当医にも「歳にしては柔らかい」と言ってもらえたのでそれは素直に嬉しかった。
時間を戻してレントゲン後、私は髪ゴムをレントゲン室の更衣室という狭い空間内で失くしてしまっていた。レントゲンの際、身に付けている金属は全て取り外さねばならないので、小さい金具のついた髪ゴムも眼鏡と一緒に外してカゴの中に置いといたらゴムだけ見当たらないという事態になったのだ。技師さん2人が洗濯前の検査着を全部確認してくれたり、あちこち探してくれたけど見当たらない。なぜそんなにも執着したのかというと、帰京の際に髪ゴムをひとつしか持ってきていなかったのと、それが細い髪ゴムを三つ編みにして金具で留められた少し意匠を凝らしたタイプの髪ゴムで、手放すのは名残惜しく思っていたためであった。だがここで時間を取られるわけにもいかないのでそろそろ諦めるか……と思った矢先、床に這いつくばっていた技師さんがレントゲン装置の下から髪ゴムを見つけ出してくれた。
その髪ゴムは束ねた髪から外したままのような丸まった状態で、髪ゴムと言われてパッと想像する形からは少々かけ離れていた。ペットボトルキャップ大程の黒いネジネジの塊と言えばなんとなく想像がつくだろうか。髪ゴムということで黒い輪っかを無意識に探していたものだからこのことは盲点だった。
病院というのはなんとなく、死という分岐点が鮮明なところとか砂浜と似ているなとも思った。