蓋といえば、壺の底を取って蓋にする本末転倒な手遊びのことを思い出した。壺の中に入っているのが本当に茶なのであれば、それが茶葉であれ液体の茶であれ壺の底は最重要部品であり、真上からの埃を避けたいだけならやや上の側面に当たる部分から蓋を切り出すのが真っ当なのではと思った。しかしそんなことしなくても蓋というものは紙とか、板とか、皿とか、一時的であれば手のひらなど代用可能なものであるはずだ。
何かに蓋をする時、私たちは想像以上にたくさんの選択肢を与えられている。しかし目玉焼きをフライパンで焼いている時、茶壺のようにフライパンの底を蓋にしようとは誰も思わない。
蓋はふさがれるものたちの外部にあるはずなのだ。